●5● JISSEN NEWS 2007.冬No.154


神奈川県立産業技術短期大学校 電子技術科 矢島研究室
 今年の技能・技術分野でのトピックスは、11月静岡県で開催される「2007年ユニバーサル技能五輪国際大会」です。22年ぶりの日本開催に、代表選考会の第44回技能五輪かがわ大会は、各選手とも気合いが入っていました。代表に選ばれた選手においては、金メダルめざしてがんばってもらいましょう。私は神奈川県の指導員になって20年になろうとしていますが、そのほとんどの期間で技能五輪に関わってきました。5年前からは競技委員として、競技課題作製や運営に携わっています。研究室紹介という紙面を借りて、製作した課題などを紹介したいと思います。
ここ数年で傑作だった課題は、第43回やまぐち大会(2005年)の修理競技課題として製作した「電子機器 ハノイの塔」です(Fig.1)。ハノイの塔は、3本の棒に用意された大きさの異なる円盤をルールのもと移動させるパズルです。この機器は、3本のポールを配置したベースをステッピングモータで回転させ、薄い鉄板を貼った発砲ポリエチレン性のコマを電磁石とリフトを用いて持ち上げ、別のポールに移動させる事ができる装置です。詳細は技能と技術2006年2号に掲載されていますので、興味のある方はご一読ください。この機器は好評で、職業能力開発総合大学校東京校の2006年応用課題開発課題Tの題材として取り上げてもらいました。かがわ大会(2006年)では、国際大会をにらみ『ものづくりプロジェクト』と呼ぶ7時間の競技として、設計から回路図作成、基板設計、組立、測定、そしてプログラムまでの基板製作の一連の流れを通して行いました。Fig.2はこの課題で製作するフラッシュ暗算基板です。マイコンにて発生させた乱数を、7segLEDとそろばんLEDに表示します。この基板のユニークなところは、そろばんに見立てた縦に5つ並ぶLEDです。競技では基板全体を設計し、ユニバーサル基板にて試作します。プログラム課題は、そろばんLEDのデコードを行うPICのプログラミングです。

Fig.1 ハノイの塔

Fig.2 フラッシュ暗算基板(デモ用)

技能五輪では、多数の一般見学者にもその競技の内容が分かるようにテーマ選びがたいへんです。以前は、ファンクションジェネレータや、周波数カウンタなども作りましたが、一般の方にはわかりにくかったようです。最近はできるだけ身近なもので、特に遊べるものを選定しています。毎年、新しいものを短期間で製作しなければいけないので、かなり厳しい仕事ですが、新しい発見も多いのでがんばっています。そろそろ次回大会の課題を考え始めないと。。。協力したい、協力してもいいよという方、連絡お待ちしています。
最後に短大において10年ほど学生の面倒をみていますので、その間の卒業研究の一部を紹介します。私は1995年から2年間、能開大研究課程にて計算機ホログラムの研究をしましたので、光エレクトロニクスをテーマにしたものが多いです。

イ) ホログラムの作製(Fig.3)、計算機ホログラムの最適化設計
ロ) 半導体レーザのAPC回路および温度制御回路の製作
ハ) 偏光面を利用した多重化光空間伝送システムの製作
ニ) LEDドット・マトリクスを用いた対戦型オセロゲームの製作(Fig.4)
ホ) レーザガンを用いた射撃ゲームの製作
最近は、光と音を用いた娯楽性のある電子機器をテーマとしたものに取り組んでいます。


Fig.3 ホログラム

Fig.4 オセロゲーム

Fig.5 電子技術科スタッフ
(左から佐久間、金子、柳沢、矢島、岩崎、浦野、宮本)
(神奈川県立産業技術短期大学校 矢島 康治)